DS 学研ムー編集部監修 超常現象リサーチファイル | ゾイド徒然草

DS 学研ムー編集部監修 超常現象リサーチファイル

 諸君は「ベントラベントラ……」と唱えながら夜空を見上げた経験があるだろうか? 私は、ある。

 あるが、周公を夢に見ざるがごとく、夜空にUFOを求めなくなって久しい。暗闇を恐れなくなったし、スプーン片手に「まっがーれ!」と念じることもなくなった。恐怖の大王も来てはくれなかった。未知のロマンと隔絶したのである。つまらない大人になったものだ。


 しかし……


 しかし、それでも、いまだに月刊ムーを購読しているのである。ろくに目を通さずに翌月号の発売日を迎えることすらざらだというのに、かれこれ25年ほどになろうか、買い続けているのである。これこそがミステリーか。


 それはともかく、今月も惰性でムーを買ってパラパラとページをめくっていると、なにやらムー編集部監修のゲームが出ると宣伝してあった。任天堂DS用ソフト、その名も『学研ムー編集部監修 超常現象リサーチファイル』である。



学研 ムー 編集部監修 超常現象リサーチファイル


 うわぁ……


 ゲーマーとしての私は、烈しく糞ゲーアラートを発している。ものすごく安い企画であるのが透けて見える。

 しかし、あらがいがたい魅力を感じるのはなぜだろうか?

 本当はまだ、UFOも見たければ暗闇に霊を想像して怯えているんじゃないのか? 超能力を身につけてハルマゲドンの戦士になることを夢想しているんじゃないのか?
 我がことながら心の奥底に封印した本心はよく分からない。しかし、ムー本誌同様、たいして欲しくもないくせに、うっかりこいつを買ってしまったことだけは紛れもない事実なのである。


 DSを起動すると、オープニングのデモも無くいきなりタイトル画面。予想通り、初っぱなから安い作りである。

 粛々とニューゲームを選択すると、自分の名前以外思い出せない主人公が「組織」の一員としてUFOや心霊などの調査に従事せねばならなくなったというストーリーが語られた……



ただのクイズゲームなのに!


 そう、本作は「ムー的」なことをテーマにしたクイズゲームなのである。ストーリーとかいらないじゃん。ストイックにクイズでいいじゃん。

 だいたい余計なテキストで水増しするくらいなら収録問題数を増やして欲しい。だってクイズマジックアカデミーDSが70,000問も収録しているこのご時世に、わずか2,000問だよ?

――と、商品としてのコストパフォーマンスに疑問を抱きつつもとりあえずゲームを進める。


 クイズは6ジャンルあり、ジャンルを選ぶと、各ジャンルを専門とする「組織」のエージェントと共同捜査をするという設定でクイズに突入する流れ。



「オカルト」担当、レディ・D。見た目は痛いゴスロリちゃんだが、主人公を「若造」呼ばわりするアレな女。

 ジャンル「オカルト」は主に魔術に関する問題が出題される。



「UFO」担当、イブモスキー。見た目はこの通りIQ170のアイツに似てるんだよ!

Ω ΩΩ< ナ、ナンダッテー!?



「UMA」担当、ブラッドマン。外見はアレだが、中身はハートマン軍曹のパクリでやっぱりアレだ。

 ジャンル「UMA」はネッシーや雪男などの未確認動物に関する問題が出題される。



「超文明」担当、ロニー。手にした仮面はどっかで見たことがあるような気もするが……

 ジャンル「超文明」は古代文明や神話に関する問題が出題される。



「心霊」担当、ヴァネッサ。色っぽいお姉さん然として振る舞うが、見た目からしてアレ。



「超現象」担当、ウプヌーシ。ネット用語を多用するアレな老人。おそらく「ウプレカス」のパロディなのだろう。

 ジャンル「超現象」は超能力や奇跡、その他怪奇現象の問題が出題される。


 アレすぎるエージェントたちだが、共通点がある。例外なく高飛車な性格だという点だ。ファッキン!



 ジャンルを選択すると、ごく稀に担当エージェントではなく招かれざる客に遭遇することもある。

 画像の人物はジョゼーフと名乗る男で、石仮面の男を捜しているらしい……。このゲーム、こんなネタばっかだ。

 だが見かけのアホらしさによらず、彼ら闖入者の出題する問題は極めてレベルが高い。長年ムーを読んでいる私ですら正答率は二割以下という有り様。


 彼らエージェントや闖入者とこなしていく任務は基本的に1ステージ5問。任務を一定回数こなすと問題のレベルがレベルグリーン、レベルイエロー、レベルレッドと上昇し、ストーリーが進行するシステムとなっている。

 ストーリーは主人公の正体と「組織」の陰謀をめぐる話なのだが……



 なんだよ、この画像は!(苦笑)

 まぁ、あのアニメには「ムー」も稼がせてもらったしな。


 さて、おふざけは置いておくとして、このゲームのメインであるクイズだ。少ない問題数ながら目先を変えて飽きさせないような工夫くらいはされている。問題をいくつか見てみよう(ジャンル「超文明」からの出題)


問題

エジプトのハトホル神殿の

レリーフには、

当時存在しなかったはずの物が

描かれている。

それは何か?

 オーソドックスな四択や○×クイズ。当てずっぽうでも攻略可能。


問題

古代オリンピック発祥の地

オリンピアで、

紀元前5世紀に

建造された巨大銅像は、

何の神がモデルだった?

カタカナ三文字で書け。

 タッチペンでの書き取り問題。さすがに答えを知っていないと正答できない。


問題

イザナギが黄泉の国から逃亡し、

禊ぎをしている最中に

多くの神々を生んだが、

以下に挙げる

神々の誕生した順番を並べ替えろ。

 選択肢をなにがしかの順番通りに答える問題。


問題

大本教の出口王仁三郎は生前、

日本は世界の雛形である、

と主張していた。世界の地理地形が

日本の形態のモデルと

なっっているとのことであるが、

日本列島の何処と世界の大陸とが

リンクしているのか繋げろ。

 関連する語句をつなぎ合わせる問題。


 以上のような形式の問題を次々と解いていくクイズゲームであることが本作の基礎だ。

 だが、この部分にゲームとしての面白さが足りないため、どうしても低い評価を付けざるを得ない。

 まず、基本的にゲームオーバーの概念がない。その上、時間制限ですらたまに発生する「特殊任務」の時にしか発生しないのだ。徹底的にぬるい。そのため緊張感を欠いた投げやりなプレイになりがちなのだ。クイズの50%はスリルでできているというのに、この仕様ではクイズの魅力の半分を捨てているようなものだ。

 例えばライフ制だとか正答率だとかでハードルを設け、誤答により課題をクリアできなかったら各レベルの最初まで戻されるようにしたほうが良かったのではないか。いや、絶対にそうするべきだった。


 そんな基本がなっていないゲームだが、やり込み要素も用意されている。それが「エージェントタグ」だ。


 エージェントタグは001から038まで用意されており、それぞれ特定の条件を満たすとオープンになる。各エージェントタグには「組織」のエージェントや怪奇現象に関するテキストが記されているのだが……





 ……。

 こんなヲタネタばっかりだ。「ムー」関係ないじゃん!


――もっとも、ムー民(ムー読者)とヲタは基本的に被っているのだが。非現実の世界に逃避せざるを得ない弱虫なのだよ、ぼくらは。


 以上、さらっと紹介させてもらった。

 前述の通り、ゲーマーとしてはあまりお薦めできない。誤字や日本語がおかしいところも散見されるレベルであるし。

 しかし、ムー民としては、どうしても熱中してしまう要素があるのである。私がムーの購読を止められないように。けだし、呪いの類である。


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